Column
Our Roots


 16 July,2012    Diamond dogs / David Bowie
 
 目の前のありきたりの日常とは異なる刺激的なものをいつも探していた。音楽や映画、女の子はもちろんのことUFOや心霊現象、ユリ・ゲラー、ノストラダムス等の話で仲間たちと盛り上がったものだ。
中三の夏を過ぎた頃だったと思う。北部図書館(現稲毛図書館)二階のレコードコーナーにあった一枚のLPがOGの目を惹きつけた。下半身が犬へと変異した近未来都市のミュータントが、荒々しいタッチと毒々しい色遣いで描かれたジャケット。それがDavid Bowieとの初めての出会いだった。
 
 
 “Diamond dogs”は、A面のトップ、サウンドエフェクトで不気味な雰囲気を漂わせるトラックをバックにしたFuture legendというタイトルのナレーションに続き、”This ain't rock'n'roll. This is genocide!”というBowieのアジテーションとともに始まる。アルバムタイトルでもあるミディアムテンポのそのロックナンバーの、混沌としてnoisyな音の塊でありながらポップで刺激的なサウンドはそれまで聴いたことがないものであり、OGを一瞬で異次元の世界へと導いた。
 “Diamond dogs”は近未来をテーマとしたコンセプトアルバムであり、アルバム全体のサウンドやトーンには統一感があるが楽曲はバラエティに富んでいて、きらびやかなリフのはじける “Rebel rebel”、フィラデルフィアソウル風のストリングスとドラマチックな歌声が印象的な“1984”、バラードの名曲 “Rock'n'roll with me”などOGのfavoriteの他、現在のダンスミュージックを思わせるハードなビートのループが聴けたりもする。前作の “Ziggy stardust”の方向性に近いSFのテイストが感じられるが、はじめに聴いたこともあって世間一般の評価とは逆に、OGにとっては“Diamond dogs”のほうが思い入れの深いアルバムとなっている。
(OG)


| Prev | Index | Next |


| Home | Profile | Collection | Column | リンク集 |